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- 450 :名称未設定 :04/09/24 16:01:03 ID:Gdqw5pRL
- ttp://arstechnica.com/etc/mac/index.html
ttp://arstechnica.com/etc/mac/mac.ars-20040923-2.html
Caminoプロジェクトの開発主幹、Mike Pinkertonへのインタビュー
by Eric Bangeman
Chimera/Caminoは、登場当初からOS Xユーザーのハートの中で特別な地位を占めてきた。オープンソースの
MozillaプロジェクトのCocoa移植版として、OS X用ブラウザとして一時期最も人気のあるブラウザであった。
OS X用アプリらしい外見で、かつほとんどのページを上手く表示できた。これは初期のライバルであった
OmniWeb 4.0, Internet Explorer 5.2, Mozillaでは実現できないことであった。ライバルたちはOS Xの
Aqua GUIに準拠していない(訳註:IE, Mozilla)か、または一部のサイトの表示に難があったりした(訳註:OmniWeb)。
しかし、AppleがKHTMLを採用し自前のブラウザを投入すると決断したことで、ほぼ一夜にして状況が一変した。
SafariはたちまちOS X用で最も人気のあるブラウザになり、間もなくwebデベロッパたちはwebページの
デザインの際にSafariの存在を考慮するようになった。しかしながら、最近、Caminoの開発スピードが再び加速し、
今もなおCaminoはネットサーフィンに適したブラウザであり続けている。
Mac.ArsはCaminoプロジェクトの開発主幹、Mike Pinkertonと会った。Mikeは高校生の時からMac用ソフトの
開発に携わっており、AuroraやColorKeyなどのプログラムを作った。我々の質問に対し、彼は快く答えてくれた。
―Caminoはどのようにして始まったのですか?
マイク:Caminoは2001年の後半に始まりました。Vidur Apparaoと私がGeckoをCocoaアプリに内蔵できることを
証明できました。VidurがObjective-C言語でラッパーを作成し、私はGeckoのWidgetライブラリをCarbonの代わりに
Cocoaで書きました。そんなに苦労せずとも、(GeckoのCocoaへの移植は)可能でそんなに難しくないとことが判明しました。
2002年初め、Dave HyattはWindowsに退屈し、OS Xの開発を本気で学びたいと言いました。Daveは私が作成した
Cocoa widgetの肉付け及び最適化、それからブラウザラッパーの構築を開始しました。
- 451 :名称未設定 :04/09/24 16:02:56 ID:Gdqw5pRL
- 同じ頃、Netscape/Mozillaは「すべてのものをすべてのユーザーに」というブラウザスイートの出荷に忙殺されていました
(訳註:Mozilla 1.0/Netscape 7の正式版だろう)。Hyattと私、それから他の者も、このアプローチは知識・技術のない
ユーザーにはアピールしないということを認識していましたが、このリリースを推進する巨大な力を止めるには、我々は
無力でした。クロスプラットフォームベースでビルドされ、初めからWindowsでデザインされており、OS Xで魅力を放つ
のに必要な時間や開発リソースは与えられていませんでした。Windowsよりも更にひどいWindowsアプリからの移植版の
ような印象を受けました。我々ならもっといいものが作れると思いました。
我々はサイドプロジェクトを立ち上げ、OS XネイティブのCocoaフロントエンドと、クロスプラットフォーム/Carbon/Cocoaの
バックエンドを持つハイブリッド版を"Chimera"と名付けました。このプロジェクトの目標は高速で、標準に準拠した
ブラウザを作ることでした。Mozillaにある多機能はなく、認証ダイアログから送信されるメール(訳註:Mozillaから
送信できるフィードバックのことか)をチェックすることはできませんでした。合理化されたシンプルなブラウザ、すなわち
必要なものだけあって、それ以上のものはない、というものです。我々はドット単位のリリースを繰り返し、最新の
レンダリングエンジンを搭載した無料のネイティブブラウザを心待ちにしている、忠実なMacユーザーの支持を得ました。
―Chimeraをめぐって一騒動あったと記憶しているのですが、何があったのでしょうか?
2002年の中頃、HyattがAppleで後にSafariとなるアプリの開発チームに参加するために離脱し、我々は打撃を受けました。
私はただ一人の技術主幹及びプロジェクトオーナーになってしまいました。同じ頃、2003年1月のMWSFに出展する
Netscapeブランドのテクノロジープレビュー版に組み入れるために、我々はNetscapeの内部に、開発及び品質保証に
専念する小さなチームを結成しました。我々の小さなブラウザを立ち上げるために奮闘しました。二流(あるいは三流)の
ソフト(訳註:Netscape 6以降及びMozilla)を何年にもわたり供給した後で、Netscapeで再び誇りを持ってMac製品の
仕事ができるということは、我々にとっては発奮材料でした。
- 452 :名称未設定 :04/09/24 16:03:48 ID:Gdqw5pRL
- 我々の仕事は軌道に乗り、もうすぐ報われるというところまできました。MWSF 2003の会場で配布するためにCDを
数百枚プレスしました。しかしショウの2日前になって、AOLのマネージメントはこのプロジェクトを中止する決断を
したのです。言うまでもなく、我々は落胆しました。このCDはまだ手元にいっぱいあります。コレクターズアイテム
になっているかもしれません。このMWSFはまた、AppleがSafariの最初のベータを発表したときでもありました。
我々の製品の出荷が中止になった失望を忘れるべく、我々がSafariを弄ってみると、我々がターゲットとしていた
まさにそのマーケットに、まさにその機能構成でもって、AppleがSafariを投入していたのです。
―AOLが手を引いた後、開発継続を決断したわけですが、難しい決断だったのでしょうか。
良い友人でありマネージャーになったChris Saariからメールを受け取るまで、私はかなり落ち込んでいました。
2年近く経った今でも私のメールボックスに残してあるのですが、「君は人々が熱望しているものをビルドしてきたんだ。
これはすごい褒め言葉だし、私に言わせればソフトウェアとしては最高の賛辞を得ているんだ」我々はMacコミュニティーの
ためにビルドしているのであって、ジョブスのためにビルドしているのではありません。それに我々のユーザーは
Safariにはない何かを求めていたわけです。ありがたいことに、Mozillaはまだあったわけですし。
Netscape/AOLからの援助が途切れてから、正しいことをやりたいと望む少数精鋭のデベロッパ及び品質保証
担当者により、Camino 0.7は2003年にリリースされました。我々の努力の集大成でした。高速で安定性も高く、
かつユーザーに機能追加を望む余地を残していました。開発を続けなければならない、と我々は気付きました。
Caminoのオープンソースコミュニティから新たにサポートを得て、次なる0.8リリース版への機能追加に向けて
前進していきました。
―Camino 0.7は人気がありました。すぐに私のデフォルトブラウザになりました。しかし、0.8が出るまでに
時間がかかりました。どうして遅れたのでしょうか?
- 453 :名称未設定 :04/09/24 16:05:35 ID:Gdqw5pRL
- 前のドット単位のリリースの間隔は短かった一方で、0.7の成功の裏で深刻な問題を抱えていました。それは、
0.7と同じクオリティ、同じ安定性、同じスピードレベルにあるものをリリースできなかったのです。目に見えない
部分でのGeckoの変更及びフロントエンドシステムの変更が行われたことで、古いnightlyビルドを0.8として公開
することができなくなったのです。時間がなくて修正できなかった古いバグのみならず、新たなバグの修正、及び
細部の煮詰めにかなり時間がかかりました。もっといいものを作らなければならなかったわけですから。
―現在のCaminoチームの規模は? かつては基本的にはあなたのトップダウンだったようですが。
ずっと開発に携わっていたのは私だけ、という状況が長く続きました。多くの人が来ては去っていき、あちこちに
パッチを当てていましたが、彼らは忙しくなってプロジェクトから去っていきました。最近やっと新しい人が入り、
開発が再加速しました。ほとんどのOSSプロジェクトと同じように(私の経験では)、開発部隊よりQAチームの方が
ずっと大きなものでした。彼らはバグに優先順位を付け、再現させ、確認しました。メーリングリスト/フォーラム/
IIRCチャンネルの参加者たちもデベロッパ及びエンドユーザーの両方の問題の解決に貢献してくれました。私は
Caminoを「我々はデベロッパが何人います」というのではなく、コミュニティー(ファミリーと呼んでもいいですよ)
と考えています。
2003年秋、私はワシントン大学でオープンソースソフトウェアの講義を受け持つことになりました。私は
AOLでの仕事に忙殺され、しかもその傍らで講義の準備に追われ、Caminoに割く時間があまりありませんでした。
Caminoは停滞しました。パッチは未検証のままでした。バグ報告は山のように溜まりました。チェックインも
行われていませんでした。Caminoは死んだ、人々はそう口走るようになりました。Safariがあらゆる方面から
賞賛を受け続ける一方で、私はCaminoプロジェクトを放棄する寸前までいきました。
- 454 :名称未設定 :04/09/24 16:06:23 ID:Gdqw5pRL
- ところが私は、あるときオープンソースの講義中に、稲妻のようにひらめきました。プロジェクトの停滞は私が
原因だ、と。力のないプロジェクトオーナーがいるのは、プロジェクトオーナーがいないよりもさらに悪い、と。
私はその力のないオーナーであり、このプロジェクトを救うには、それを告白して何とかするしかない、と。
私は新しい検証プロセスを立ち上げ、より多くの人を招き入れ、ボトルネックである私を排除するようにしたのです。
Caminoは突然息を吹き返しました。パッチは次々と入ってくるようになり、着陸に成功しました。ようやく上手く
回転するようになったのです。
そして一年余りの悪戦苦闘の末、2004年6月、ようやく我々はCamino 0.8をリリースすることができました。
これは0.7の本当の後継者であり、妥協することなくあらゆる意味で改善されている、と率直に言えます。
0.7は当初Netscape主導で始まりオープンソースに移管されて停滞したのに対し、0.8はオープンソース、
オープンプロセスの勝利と言えます。世界中の人々がパッチ作成/品質保証/バグの優先順位/ローカリゼーション/
アートワークを手伝ってくれ、支持してくれました。それはが私が講義で教えたことのすべてであり、私が
この上なく誇りに思っている製品へ生命を吹き込んでくれたのです。
(2ページ目)
クローズド・プラットフォームにおけるSafari及びオープンソースの開発
―Safariについてはどうお考えですか? SafariがGeckoではなくKHTMLを採用したことについてどう思いましたか。
マイク:Safariはとても良いブラウザです。私は開発チームの人たちを知っており、全員が最高の人材です。
彼らは自分たちがやっていること、及び正しいことをやっているということに関して情熱を持っています。
こんなに素晴らしい仕事は求めてもなかなかできないでしょうね。
究極的には、彼らはKHTMLを選んだことは正解となるでしょう。サイズの点で軽量ですが(その分開発も楽になる)、
Geckoの互換性に追いつくにはまだまだ長い道のりが残されています。彼らは膨大な努力を続け、最終的には
報われるでしょう。
- 455 :名称未設定 :04/09/24 16:07:14 ID:Gdqw5pRL
- ―SafariやFirefoxに対するCaminoのセールスポイントは?
Caminoはスティーブ・ジョブスではないすべての人のためのブラウザだと私は考えています。Safariはジョブスが
好む方向に進んでいくでしょう。確かに、いろいろと興味深いことを開発していますが、人々が好まない方向の
インタラクションも少なからずあります。Caminoは優れた選択肢を提供し、Appleに後ろを振り返らせる役割を
果たしていきます。我々はAppleの人たちを正直であり続けるようにし、エンドユーザーに利点があるように
していきます。
Firefoxのセールスポイントははっきりしませんが、両方を使っている人には明らかでしょうね。まず第一に、
CaminoはMac OS Xの基礎に基づいてビルドされており、可能な限りOSと一体化するようにしています。
アドレスブック、Rendezvous、キーチェーンとの連携などがあり、これらはFirefoxでは直接利用することすら
できません。UIの機能を議論するときは、まず「Macファースト、Macオンリー」であり、「Macで動くようには
これをどうやって移植しようか?」とは考えません。Caminoの基本的な目標は最良のMacブラウザを作ることであり、
たまたまMacでも動くベストブラウザを作ることではありません。
―Caminoは古いOS Xのバージョンをどこまでサポートしていますか?
Camino 0.8はMacOS X 10.1.5でもちゃんと動作します。しかし0.9では10.1を切り離し10.2以上に集中する
ことに決定しました。したがって同OSのユーザにとってはCamino 0.8が最後のリリースになります。サポートを
続けていきたいのはやまやまですが、古いOSについては開発及び品質保証の人的資源から得られるものよりも
コストの方が高くなってしまいます。0.8の最終バージョンでは10.1.5固有のバグを修正し、これらのユーザーにも
可能な限りベストなブラウザを与えるようにします。
- 456 :名称未設定 :04/09/24 16:07:52 ID:Gdqw5pRL
- ―Caminoには、Omniwebが採用したタブブラウジングスタイル及びサイト設定のようなUI他の革新の余地が
あるとお考えですか?
革新の余地はいつだってありますが、得られるものがそれに見合うものかどうかについては慎重でなければ
なりません。たとえば、我々はOmniWebの採用するタブブラウジングスタイルに関しては、彼らが採用する
よりも早い段階で真剣に検討したことがありますが、綺麗だしAquaのデモとしては素晴らしいものの、日常的に
使うブラウザとしてはそれほど使い勝手が良くないという結論に至りました。もしかすると我々が間違って
いることが時とともに証明されるのかもしれませんが、Caminoのユーザーからあれを採用してほしいという
意見は今のところ全くいただいていません。
ユーザーからは毎日、この機能を付け加えてほしいといったフィードバックをいただきますが、そのうちの
大半は我々が付け加えなければならないと既に認識している機能に関するリクエストです。採用を検討する
価値のある新機能もあります(Firefoxの新しい検索ツールバーなど)。Caminoに効果的にできる方法があれば、
検討していきます。
ソフトウェア開発で最もつらい仕事は「ノー」と言うことであり、私はこのプロジェクトで何度もノーと
言ってきています。間違ってないといいのですが。;)
―OS Xのようなクローズドプラットフォームにおけるオープンソース開発の課題とは何ですか?
デフォルトブラウザを出荷しているOSベンダーと戦っていることの他に。;)
「クローズドプラットフォーム」上で取り組む上での第一の問題点は、我々ではどうにもならないCocoaの
バグ(または回帰)に出会うことがある、ということです。今日まで、Appleのコード内にあり、我々が
ツールキットテストアプリで証明したのに、バグのデータベース上で修正待ちとなっているバグがあります。
さらにもどかしいのは、バグの修正待ちのみならず、特定のOSのリリースまでその修正が先延ばしになる
場合があることです。
- 457 :名称未設定 :04/09/24 16:09:14 ID:Gdqw5pRL
- ドット単位でのリリースにおいて修正を得るのは非常に難しいことです。Appleは明らかに開発スタッフ及び
品質保証部に対し次のリリースまで保留にしているふしがあるからです。残念ながらまだ半年残っており
(訳註:Tigerのリリースまで)、その間、ユーザーに対しては、このバグはOSそのもののバグであり、
アプリのバグではない、と言い続けなければいけないのです。
―Camino 0.9の登場はいつ頃になりそうですか?
Camino 0.9は2004年には出ないでしょう。機能追加、及び環境設定やタブブラウジングなどの主要部分の
インフラストラクチャーのリワークを行っています。前に申し上げたように、我々は自身の成功の犠牲者でも
あるのです。人々は高品質のリリースを期待しており、私はただ「〜をしました」と言うためだけに新しい
バージョンをリリースするつもりはありません。
―1.0のリリースまでに、どんな変更がある予定でしょうか?
マイルストーンバージョンたる1.0では、日常の使用にさほど影響を及ぼさないものの、1.0であれば人々が
肩をすくめるような問題をすべて修正できるように、0.9までにすべての機能追加を行う予定です。
市販のソフトであれば、1.0は「お引き取り下さい。期限までにリリースしただけですので、1.0.1をお待ち
ください」という意味でしょうけれども、我々にとっては、1.0は砂の上に描いた線であり、それをまたぐと
いうことは、アプリ全体にわたって高いレベルのクオリティを実現した、という意味なのです。
(翻訳ここまで。急いで訳したので細部のミス等はご容赦のほど。)
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